岩手県

東北地方 主要品種:まっしぐら、みやこがねもち、ひとめぼれ

岩手県は東北地方の北東部に位置し、三陸海岸を有する海沿いの県です。古くから陸奥国の一部を成し、奥州藤原氏の治世が長期にわたりました。豊かな自然に恵まれ、リアス式海岸や岩手山などの景観が特徴的です。 主要産業は水産業と農業で、岩手牛や岩手の三大寒ブランド(いわて短角牛、いわて宮古びん長牛、いわて遠野短角牛)などの畜産物が有名です。さらに、伝統工芸品の小岩井牛乳ビン、冷酒の八戸酒などの地域特産品も存在します。 近年では、復興の歩みが続く中、再生可能エネルギーの利用促進やクリエイティブな産業の育成など、地域の活性化に向けた取り組みが行われています。世界的な観光地「三陸復興国立公園」の一部を擁し、自然と調和した持続可能な発展を目指しています。

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全国生産量ランキング

統計情報

生産データ(2024年産)

258,900
年間生産量(トン) 全国11位
45,500
作付面積(ha) 全国シェア 2.98%
569
10a当たり収量(kg) 作況指数 106
226.2
1人当たり収量(kg) 県民一人当たり

農家統計(2010年センサス)

76,377
総農家数(戸) 全世帯比 15.78%
55,347
販売農家数(戸) 総農家比 72.50%
21,030
自給的農家数(戸) 非販売農家
27,445
土地持ち非農家(戸) 総農家比 35.90%
生産データ:農林水産省「令和6年産水陸稲の収穫量」 / 農家データ:2010年世界農林業センサス

地域の特色

お米の特徴

岩手県産の代表的なお米は、「ひとめぼれ」と「金色の風」です。「ひとめぼれ」は甘く優しい味わいが特徴で、低アミロース含有量により粘りが強く、炊きあがりがふっくらとしています。「金色の風」は低アミロース・高タンパク質で、柔らかな食感と上品な甘みが特徴です。両品種ともビタミンやミネラルが豊富で、食味も良好なため、全国的に高い評価を得ています。岩手のお米は、自然豊かな環境と丁寧な生産によって、味わい深く健康的な仕上がりとなっています。

主要品種

まっしぐら みやこがねもち ひとめぼれ 夢つくし ゆめまづほ
気候
岩手県は冬季の降雪が多く、夏季は比較的涼しい気候です。年間平均気温は10度前後、降水量は1,200mm前後と多めです。稲作には冬期の積雪が重要で、融雪時期と田植えが重なるため、春先の日照不足や低温が課題となります。一方で、夏季の涼しさが品質向上につながりますが、収穫時期の天候変化に注意が必要です。
土壌
岩手県の土壌は、主に火山灰土や褐色森林土などから構成されています。これらの土壌は、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル分が豊富で、水はけが良好です。また、酸性度が適度であることから、稲作に適しています。このような土質と気候条件が整っていることが、岩手県の良質な米の生産につながっています。
水源
岩手県の主要な水源は、雫石川、北上川、安家川などの一級河川と、十和田湖、森吉山系の湖沼です。水質は概して良好で、山間部の清流が特徴的です。また、これらの水源から水田へは、用水路や水門システムを通じて効率的に給水されています。岩手県の豊かな水資源は、地域の農業生産に大きく貢献しています。

特産品・ブランド米

岩手県の代表的な特産米は「銀河のしずく」です。山形県の雪深い地域で育まれた酒米「亀の尾」を育種の元にしたお米で、きめ細かな食感と上品な甘さが特徴です。1990年代後半から生産が始まり、2012年には「全国新米コンテスト」で最高賞を受賞するなど、高い評価を得ています。また、同じく酒米の「兵庫菱」を母に持つ「夢しずく」も人気です。アミロース含量が低く、ふっくらとした食感が特長で、2016年には国際コンテストでも金賞を受賞しています。これら2銘柄は、岩手の豊かな自然環境と伝統の米作りが生み出した逸品です。

稲作の歴史

岩手県の稲作は、弥生時代から始まったとされています。江戸時代には「銀河米」や「南部藩銘柄」など、県内各地で伝統的な栽培方法が発展してきました。現在では、有機栽培や無農薬栽培に取り組む農家が増え、特色ある品種の生産やブランド化にも力を入れています。また、里山の景観保全や地域の活性化にも寄与するなど、岩手の稲作は歴史と伝統を背景に、時代に合わせて進化を遂げている重要な地域産業といえます。

文化・観光

観光情報

岩手県は自然と歴史が織りなす魅力的な観光地です。有名な観光スポットには、平泉の世界遺産、三陸海岸の美しい景観、盛岡城下町の歴史的建造物などがあります。季節のイベントでは、春の桜まつり、夏の花火大会、秋の紅葉狩りなどが人気です。グルメは、朝採れの新鮮な海産物や、肉厚で柔らかな岩手牛、盛岡冷麺などが楽しめます。アクセスは、新幹線やバス、レンタカーなどで便利です。

郷土料理

岩手県の郷土料理には、「じゃじゃ麺」が有名です。これは手打ちの太麺にキャベツ、豚肉、人参、揚げなどを和えた料理で、強い味付けが特徴です。材料は地域によって異なり、郷土の食材を使うのが特徴です。発祥は江戸時代末期で、当時の貧しい暮らしを反映した料理といわれています。冬は温かい汁ものと一緒に、夏は冷やしてさっぱりと楽しめます。