鹿児島県

九州地方 主要品種:ひのひかり、さつま姫、ヒノヒカリ

鹿児島県は九州の南端に位置し、亜熱帯気候の奄美地方と温暖な薩摩地方から成る地域です。歴史的には薩摩藩の支配下にあり、独自の文化が育まれてきました。主な産業は農業、漁業、食品製造業で、甑島のかつおぶし、指宿のやきもち、奄美の黒糖などが有名です。また、城下町の鹿児島市は明治維新を牽引した薩摩藩の中心地で、維新ゆかりの史跡が残されています。現在では亜熱帯の島々と火山の大地が魅力の観光地となり、ゆったりとした生活様式と豊かな自然、伝統文化が共存する地域となっています。

29
全国生産量ランキング

統計情報

生産データ(2024年産)

80,400
年間生産量(トン) 全国29位
17,100
作付面積(ha) 全国シェア 1.86%
470
10a当たり収量(kg) 作況指数 97
52.5
1人当たり収量(kg) 県民一人当たり

農家統計(2010年センサス)

78,102
総農家数(戸) 全世帯比 10.71%
45,855
販売農家数(戸) 総農家比 58.70%
32,247
自給的農家数(戸) 非販売農家
51,588
土地持ち非農家(戸) 総農家比 66.10%
生産データ:農林水産省「令和6年産水陸稲の収穫量」 / 農家データ:2010年世界農林業センサス

地域の特色

お米の特徴

鹿児島県の代表的なお米品種は「ひのひかり」です。ひのひかりは香り高く、粘り気のある食感が特徴的です。低アミロース含有量により、ツヤのある白米になり、炊き上がりはふっくらとしています。ビタミンB1、鉄分、食物繊維が豊富で、健康的な食生活に適しています。全国的に高い評価を受け、特に関東地方で人気が高く、お米ファンから「鹿児島のお米は最高級」と称賛されています。

主要品種

ひのひかり さつま姫 ヒノヒカリ きぬむすめ さつま錦
気候
鹿児島県は、亜熱帯気候に属し、年間を通して温暖な気候が特徴です。夏は高温多湿で、梅雨期も長く続きます。冬は比較的寒暖の差が小さく、積雪も少ないのが特徴です。年間平均気温は16~20度、年間降水量は2,000~2,500ミリと多く、水は豊富です。このような気候条件は、稲作に適しており、多収穫を可能にしています。ただし、時折襲来する台風の影響も課題となっています。
土壌
鹿児島県の土壌は火山灰土が主で、ミネラルが豊富です。酸性が強く保水性が高いため、水田稲作に適しています。火山灰土は肥沃で、窒素や珪酸などの微量要素が多いことから、良質な米を生産できます。鹿児島の温暖な気候と相まって、極めて優良な稲作地帯となっています。
水源
鹿児島県の主要な水源は、大隅半島を貫流する川内川、池田湖、桜島の周辺湖沼です。水質は良好で、有機物や栄養塩類の少ない軟水です。田んぼへの給水は、ダムや溜め池からの重力給水が中心で、地域の水利慣習に合わせた効率的な水管理が行われています。近年は、節水技術の導入や水源保全の取り組みが進められています。

特産品・ブランド米

鹿児島県の主要なブランド米には、「さつま芋」、「金之助」、「ヒノヒカリ」などがあります。「さつま芋」は、県の代表的な銘柄で、甘さと食感が特徴です。「金之助」は、食味が良く香り高い品種で、全国米品評会等で優良賞を受賞しています。「ヒノヒカリ」は、1980年代に開発された県オリジナルの品種で、低アミロース・高食味が評価され、県内外で人気があります。これらの銘柄は、鹿児島の風土と農家の丁寧な栽培技術によって生み出されており、県内外の市場で高い評価を得ています。

稲作の歴史

鹿児島県の稲作は古くから行われており、8世紀頃には本格的に始まりました。江戸時代には薩摩藩主が優良品種の導入や改良に取り組み、特産の「薩摩米」が全国的に知られるようになりました。明治以降、近代化に伴い機械化や新品種導入などが進み、現在では有機栽培や6次産業化など、地域性を活かしつつ持続可能な農業を目指す取り組みが行われています。鹿児島の稲作は長い歴史と伝統を持ち、地域の気候風土に合わせた独自の発展を遂げてきたといえます。

文化・観光

観光情報

鹿児島県は日本の南端に位置する魅力的な観光地です。有名な観光スポットには、桜島、指宿温泉、かごしま維新の里などがあります。季節のイベントとして、桜島噴火祭や薩摩おごじょまつり、指宿温泉の湯まつりなどが人気です。グルメでは、黒豚料理、かごしま黒酢、薩摩芋などの郷土料理が有名です。鹿児島空港や鹿児島中央駅からレンタカーやバスなど、様々な交通手段でアクセスできます。

郷土料理

鹿児島県の郷土料理として有名なのは「きびなご天ぷら」です。小さな鰯のような小魚の「きびなご」を天ぷらにした料理で、脂ののった新鮮なきびなごを大量に採れる鹿児島の気候風土が背景にあります。薄く衣をまぶし、カリッと揚げたきびなごは、サクサクとした食感と上品な味わいが特徴です。香り高い塩や柚子を添えて食べるのがおすすめです。鹿児島の人々の生活に根付いた郷土料理として、今も親しまれ続けています。